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AL短編/膝上ルーク


アシュルク短編01

ルークが膝の上に乗ってきました



※注意※

ED後捏造設定。
他短編の設定とは無関係。
アッシュとルーク2人で帰還。
ファブレ家に戻って2人でクリムゾンパパの公務のお手伝い。
外見は、アッシュ21歳で長髪。ルーク17歳で短髪。
(↑管理人の趣味で)
BL/性的/直接的な言葉(セックスなど)…等の表現があります。
設定やつじつまは合わないかも。
(↑構想から完成まで正味2時間で、仕上がり未チェック)
ルークの思考が乙女ちっくでごめんなさい。





AL短編その1




「あーもう!我慢ならねぇ!!アッシュ!!なんで、最近、俺のこと避けるんだよ!!」

部屋のソファで読書をしていたアッシュは、顔を真っ赤にして怒りながら部屋に入ってきたルークを見るなり、ふいと逸らすようにして、ページの上に視線を戻した。

「何か言えよっ!無視すーるーなー!!この頑固者―っっ!!」

目の前で地団太を踏んでいるらしいルークを無視して、アッシュは黙々と文字を読み進める。

ルークは公務から戻ってきたばかりなのか、(ルークが勝手に)子爵服(と呼んでいる)の正装に身を包み、白い手袋も剣帯も外していないままだった。きっと、今頃、ルークを着替えさせようとして、メイドが探し回っている事だろう。

アッシュが無視している間にも、ルークの暴言は続く。仕舞いには、

「アッシュのバーカ!バーカ!ニワトリあたまー!!」

何が言いたかったのか分からなくなるような、子供っぽい悪口になってしまっていた。

正装して黙って立っていれば、見目麗しい英雄ファブレ子爵なのに。とアッシュは思っても、口には出さない。実際、世間では、ルークは『英雄でレプリカの見目麗しいファブレ子爵』という認識らしい。
『英雄』も『レプリカ』もルークにとって耳触りの良い言葉ではなかったが、自分の罪の証として受け止める事にしているようだ。

そして。遂に。
見目麗しい救世の英雄・ファブレ子爵様は「アッシュのいんぽー!」と、どこで覚えてきたのか徹底的に問いただしたい言葉まで放ってしまっていた。

だが、アッシュは無視する。

さすがのルークも、ここまで無視されては、簡単に引き下がる事など出来はしない。

「くそっ、力づくでもこっちを向かせてやる!!」

と言うなり足を上げて、アッシュの膝の上に、ぼすん、と座り込んでしまった。



『ルークが膝の上に乗ってきました。』



アッシュの頬を両手で挟むようにして掴み、ぐいっと無理矢理に振り向かせると、ルークは歯を見せて得意げに笑う。

「どうだ、これで俺を無視できねぇだろ?」

「…………」

アッシュの眉間に、皺が一本追加された。
ルークは、はぁ、と溜息をつくと、眉尻を下げて肩を落とす。

「あのな。怒りてぇのは、こっちだっつーの。意味も分からず無視されて、話しかけても返事すらしてくれねぇし。俺が何か間違った事してるなら、前みたいにさ、怒鳴るか罵るかしてくれても構わねぇよ。でもさ、アッシュに無視されんのは、嫌なんだ」

「…………」

「…返事なし、かよ」

ルークはアッシュの頬から手を離すと、肩に手を回して頭を埋め、ぎゅうと抱き締める。

身体を密着させると、
正装の胸元につけられたランバルディア至宝勲章が、胸を圧迫した。

英雄の証である勲章は、ルークの罪の証であり、同時に、レプリカであるが故に政治的に弱いルークの立場を守るものだ。だからこそ、『レプリカ』だの『アクゼリュス虐殺の実行犯』だの『一万の同胞殺し』だのと陰で罵られても、キムラスカ内でファブレ子爵の地位が揺らぐ事はなかった。

ルークはファブレ子爵の地位と、ファブレ公爵の後ろ盾を武器にして、現在、レプリカ保護の為に奔走していた。政治は初めてで上手くいかない事も多いが、父ファブレ公爵やアッシュ、ナタリア王女の助けを借りながら、少しずつ前へ進めていると実感している。

前へ進めていると実感している…が、改善しているという自信はまだない。

「…なぁ、俺、何かアッシュの気に障るような事した?何か間違った?」

レプリカ保護の政策は、貴族のレプリカによる、レプリカ優遇だと罵られる事も多く、被験者である民衆には、あまり受け入れられていない。実際、財政への負担も軽くはないのだ。レプリカに対する偏見や差別、迫害もなくなってはいない。

「……応えてくれよ、アッシュ…」

自分は一度、間違いを犯した。いつかまた、間違うかもしれない。
今も、間違っているのかもしれない。

時折、そんな考えがルークの脳裏を過る事があった。

アッシュが自分を憎むのは当然だと思っていた。
それを卑屈だと皆は言うが、それの何が卑屈なのかルークには分からなかった。
アッシュのレプリカなのに、
ルークは愚かで、傲慢で、自分で何も考えようとはせず、言われるままに間違いを犯した。
その事実は、どんなに努力しても、消えてなくなりはしない。

自分から作られたレプリカが、愚かで血に塗れた大量虐殺犯なのだ。
嫌悪するなと言う方が無理な話だとルークは考えていた。

「…なぁ、アッシュ。俺のこと嫌いなのは、知ってるよ。今は憎んでないって、俺がルークって名乗っていいんだってアッシュは前に言ってくれたけど、だからって、いきなり好きになってくれるなんて思ってない。……俺はそこまで自惚れちゃいねぇよ」

抱き締める腕に力が籠る。

「俺のこと、憎んでも嫌いでも、どっちでも……いいんだ。…でも、無視されるのは、嫌なんだ」

どんなに腕に力を込めても、身体が震えるのを止められなかった。

「俺が間違った事してるなら、怒鳴っても罵っても、殴っても、…あ、くぜ…アクゼリュス、が…崩落した後の時…みたいに、いきなり斬りつけてきても、良いよ」

アクゼリュスの事を口にすると、いつも喉が詰まって、身体が震えた。
それでも、ルークは言葉を紡ぐ。

「…でも、アッシュだけ、は、みんなみたいに、俺に背を向けたり、無視しないで、ほしいんだ」

ルークの異変に気付き、アッシュは眉を顰める。

「…我儘で、ごめん、な…、でも、アッシュに、置いて行かれるのだけ、は、嫌なんだ…」

アッシュは壊れモノでも扱うように、ルークの肩に触れると、ぐったりと凭れかかる身体をそっと引き剥がし、顔を上げさせる。蒼白色のルークの額には、脂汗が浮かんでいた。まるで悪夢でも見て飛び起きたばかりのような顔色だった。

「ルーク、お前…」

驚きながらアッシュが掠れた声で呟くように言うと、

「へへ、久しぶりにアッシュの声、聞けた…」

ルークは顔を綻ばせて、今にも泣き出しそうな表情で微笑んだ。

アッシュはルークの額の汗を拭ってやると、窮屈そうに見える詰襟を開いてやる。それから引き寄せて抱き締めると、まるで子供にするように、ぽんぽんと軽く背中を叩いてやった。

「……悪かった。今まで無視して」

「声、聞けた、から、もう、いい…」

涙声でルークは喘ぐように応える。今度はアッシュが、はぁ、と溜息をつく番だった。

「もう無視したりしねぇよ。だが、これ以上、俺には近付くな」

「…な、んで?」

ルークはアッシュの肩に手をついて身体を離すと、アッシュの表情を伺うように覗き込む。

「……もしかして、俺のこと、見たくないくらい、嫌いになった?」

「違う」

「じゃあ、なんで…?」

アッシュは、ちっ、と舌打ちすると、

「…いいか、一回しか言わねぇから、よく聞きやがれ」

ルークの両腕を掴んで固定し、息がかかりそうな距離まで顔を近付けた。

「てめぇを見てると、自分が抑えられねぇんだよ。無理矢理てめぇを組み敷いて、貪り食って、吸い尽くして、てめぇのアナに俺のナニをぶち込んで、突き上げて、何度も中にぶちまけて、気絶するまで喘がせてやったらスッキリするだろうが、そうすると二度と手放せなくなっちまうと考えるくらいにな」

ルークが目を瞬かせる。

「……?何を食うって?俺のアナ…?アッシュのナニ……って、何?」

がっくりとアッシュは項垂れた。
ガイ、性教育くらいしといてやってくれ。というか17才らしい性知識くらい与えてやっといてもバチはあたらねぇだろ。とアッシュは、今はマルクト帝国にいるガルディオス伯爵を恨めしく思った。が、知らないものは仕方がないので、諦めて溜息をつくしかなかった。

その溜息の意味を、ルークは悪い意味に取ったらしい。

「ご、ごめん、アッシュ!俺、ほんと頭悪くて!明日、家庭教師来るから、その時に聞くよ!」

とんでもない事をルークが言い出すので、さすがのアッシュも慌ててしまう。

「待て、待て!聞かなくていい!頼むから、聞くな!」

「え?でも…」

「…そうだった、てめぇはまだ7…いや8才だったか。知らなくて当然かもしれねぇな」

「う、ごめん…、ちゃんと勉強するから……」

「いや、勉強すると言われても困るんだがな。男同士のセックスなんて…」

とアッシュがうんざりしながら言った時、
「セッ…」と言いかけてルークが絶句し、途端、顔を真っ赤にした。
どうやら、その単語くらいは知っていたらしい。

「……つ、つまり、アッシュは、俺と、その…つまり……」

「あぁ、てめぇとセックスしてぇって言ったんだ。男同士でも出来るのか?なんて聞くなよ。出来るから、俺は言ってんだからな」

ルークが顔を真っ赤にしたまま、口をぱくぱくさせる。
何かを言いたいらしいが、どうやら言葉にならないらしい。

「…まぁ、そういう事だから、俺にあんま近付くなって事だ。分かったか?」

アッシュはぽんぽんとルークの頭を軽く叩くと、ルークを立たせてやろうとしたが、
逆に、ルークがぎゅうと抱きついたまま、動かなくなってしまった。

これ以上は限界だと、アッシュは僅かに焦り始める。それでなくても、ルークが膝上に乗ってきた時から、拷問に耐える気持ちで、己の理性を叱咤し、奥歯を噛み締めて堪えていたのだ。

「……おい、てめぇ、さっきの俺の話、ちゃんと理解してんのか?」

「…理解なんてしてねぇ」

「お前な…」

「だ、だって、アッシュ、まだ、教えてくれてねぇもん…」

「は?だから、今はっきり言って…」

ルークは身体を離し、アッシュを見つめ、それから少しだけ恥ずかしそうに目を伏せると、

「…つ、つまり、アッシュは、俺のこと好き、ってこと…?」

蚊の鳴くような小さな声で、必死に言葉を紡いだ。

アッシュは言葉を詰まらせる。
しかし、
ルークの性格をよく分かっていたアッシュは、気持ちを立て直した。

ちゃんと言葉にしなければ、卑屈で鈍感なルークは、自分に向けられた好意を理解できないのだ。

「……好きでもねぇ男を掘りたいと思うほど、俺はイカれてねぇよ」

「掘る…?」

またルークの頭の上に「?」マークが浮かぶ。


あぁ、この可愛い生き物を、どうしてくれようか!!


アッシュは叫びたい衝動に駆られたが、代わりに、ぎゅうとルークを抱き締めた。





後日談。

「ところで、ルーク」

「何だ?」

「どこで『インポ』なんつー言葉を覚えてきた?」

「は?…あ、あぁ、あれか。なんかよく分からねぇけど、俺の陰口叩いてるヤツらが話してるのを偶然聞いちまってさ。『レプリカはいんぽらしいが、子爵様で試してみるか』とか言ってたから、多分きっと、すげぇ悪口なんだろうな、って。そういえば『いんぽ』ってどういう意味な…ん、だ……、…アッシュ?」

「その陰口叩いてたヤツらの名前を言え!全員だ!社会的に抹殺してくれる…!!」

「えぇ?もしかして怒ってんのか?別にいいだろ。陰口くらい、いつもの事だし」

「良い訳あるか、この屑が!!」

…と、いつものように仲良く口喧嘩していた2人がいたとかいなかったとか。




※※ END ※※





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